小寺:テレビ業界でよくいわれるのは「集団は数字を持っている」ということですね。大人数を映すと、それだけ視聴率が上がると言われています。たとえば、行列のできるお店なんていうものはその典型ですね。イベントやコンサートの模様を伝える時でも、できるだけ観客が多いことがわかるような映像を使います。コンサート会場であれば、必ず上空から撮影しますね。街中を歩いていて人だかりがあると「なんだろう?」って気になるじゃないですか。そういう心理に近いんだと思います。
──テレビの視聴者がネットに奪われているという見方もありますが、どう感じていますか?
小寺:そもそもネットに負けるとは思っていません。ネットで検索されている話題の8割はテレビとアニメとゲームに関するものらしいのですが、ということは、テレビがなくなると、ネットで検索するトピックが一気に減ってしまうわけです。やはりテレビが情報源になっているんですよね。
そういう意味で、テレビは今後も残っていくメディア。テレビがネットに取って代わられるということはないと確信しています。ただ、さっきも言いましたが、ネットの影響で、どんどん新しい情報が求められていきているのは確かです。なので、視聴者が情報を求めるスピードに負けてしまうと、テレビの力も落ちていくかもしれません。新しい情報を発信し続ける努力は絶対に惜しんではいけませんね。
──最近の情報番組は以前の「ワイドショー」に比べると、どのように変化していると思いますか?
小寺:通常のニュースを扱うことが増えましたね。昔は永田町のニュースはワイドショーでは扱いませんでしたが、おそらく「小泉劇場」あたりから、頻繁に取り上げるようになったと思います。逆に芸能ネタは減っていると思います。昔は何か出来事があるたびに芸能人が記者会見を開いていたんですが、最近は結婚にしても離婚にしても、ブログで発表して終わりというケースが多いですから。そこはネットの影響ということになるかもしれませんね。