芸能

勝野洋 演技から生き方まで影響を受けた竜雷太の大きな存在

 テレビシリーズ『太陽にほえろ!』に刑事役に抜擢されたものの、演技のことをほとんどわからなかった俳優の勝野洋を指導したのは、劇中でも先輩刑事として後輩を指導していた「ゴリさん」こと竜雷太だった。役者として、人として大きな影響を受けた竜について語った勝野の言葉を映画史・時代劇研究家の春日太一氏が綴った連載『役者は言葉で出来ている』からお届けする。

 * * *
 勝野洋はテレビシリーズ『太陽にほえろ!』の新人刑事・通称「テキサス」役に大抜擢された。演技のことはほとんど何も分からなかった勝野を指導したのは、劇中で先輩刑事・通称「ゴリさん」を演じた竜雷太だった。

「カーアクションが多かったのですが、僕は免許を取っていませんでした。お酒をよく飲むもんですから。それで、当時はいつも竜さんの横に座っていたと思います。竜さんはけっこう運転が上手いんですよ。

 竜さんにはいろいろと教わりました。最初はボスに『はい』というセリフすら言えなかったんです。その時に竜さんが『外に出ろ』って。それで裕次郎さんたちに待っていただいて『俺に「はい」って言ってみろ』『はい』『それでいいんだ、できるじゃないか』と竜さんに教えてもらったんですが、いざ撮影隊の前に行くとどうしても不自然になってしまいましたね。

 それから竜さんに言われたのは、『カメラがどこにあるのか意識しろ』ということでした。殴り合いの多い作品でしたが、カメラが横位置にいる時に相手の顔を真っ直ぐ殴ろうとすると当ててないのがバレるんです。相手の顔に被るように殴らないと、殴っているように見えない。そういう殴り方も、竜さんから教わりました。当時は今みたいにあちこちにカメラがあるのと違ってワンカメでしたから、そういう意識も大切だったんです。

 これは、後に時代劇に出るようになってからも役立ちましたね。刀も、抜いた後で相手と交差させないと斬ったように見えないわけですから」

『太陽にほえろ!』出演後、勝野は一躍人気スターにのし上がっていく。そうした中で、勝野を戒めたのもまた、竜だった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト