ANAが早くからスカイマークの救済に名乗りをあげるのではないかと囁かれていた背景には、対JAL戦略で「出る杭を打つ」目的があったのも事実だろう。
経営危機後に公的資金の注入を受けて再生したJALは、今のところ新たな路線開設など新規投資ができないことになっているが、その禁が2017年に解ける。いわゆる航空業界の「2017年問題」が迫る前にJALの拡大戦略の芽を摘んでしまおうというわけだ。
「ANAは売上高こそJALより勝っていますが、JALは機材の小型化などコスト削減を進めてきたために収益性が高い。2014年度の営業利益はJALの1797億円(利益率13%)に対し、ANAは915億円(同5%)にとどまっています。ANAはこの差を縮めるために、シェアの拡大戦略を取っているのです」(前出・赤井氏)
スカイマークの経営破綻により、対立の構図が一層鮮明になるANAとJAL。これで乗客の利便性が高まるのならいいが、いまのところ期待薄との見方がもっぱらだ。
「スカイマークを筆頭に、低運賃を掲げて新規参入したLCCもすべて大手の系列に収まったいま、価格競争が働かずに搭乗率の高い路線を中心に料金が“高止まり”する懸念がある」(前出・記者)
行き過ぎた寡占化でサービスの低下を招くようでは、利用者の“飛行機離れ”も起きかねないだろう。