スポーツ

篠原信一 「世紀の誤審」時に表彰式のボイコットは考えた?

シドニー五輪での「誤審」で涙をのんだ篠原信一

 スポーツには「誤審」が付き物だが、日本中を騒がせたのが、2000年、シドニー五輪男子柔道100キロ超級決勝での“世紀の誤審”だ。映像を見ると明らかに篠原信一の「内股すかし」がダビド・ドゥイエ(フランス)に決まった。だが、主審ともう一人の副審はドゥイエの「有効」と判定。この誤審の犠牲となったのが、今や“バラエティ番組の顔”となった篠原だが、あれから15年、彼はあの時のことをどう振り返るのか?

──日本では、表彰式をボイコットするくらい強く抗議すべきだ、という声もあった。

「斉藤(仁)先生(当時はコーチ)に対しても『退場になるくらいに強く抗議しないと篠原がかわいそうだ』と非難する声がマスコミに載ってましたけど、本当にそれをやったら、『ようやった』って国民の皆さんは思いますか。難しいですよ」

──なぜ、誤審は起きたのか?

「内股すかしにはいくつかのパターンがあって、僕がやるのは珍しい形なんです。審判はひょっとして、自分がやるような形は見たことがないのかもしれない。または、角度的に自分がドゥイエに投げられたように見えたのか。それとも、先にドゥイエが技をかけたので、彼の技だけを見ていたのか。今となってはわかりません」

──篠原さんの試合の誤審がきっかけで2007年からはビデオ判定が導入された。

「きわどい場面がビデオで確認できるようになったのはいいことやと思います。私のような判定も少なくなるでしょう。ただし、柔道に限っては、何でもビデオに頼るのには違和感があります。テニスなら、ラインぎりぎりのボールがインかアウトかはビデオで確認してもいい。

 でも柔道では、たとえば、投げた選手も勢いで畳の上に転がるし、投げられた選手も相手にしがみついたり体をひねったりして技を返そうとする。その場合、どっちの技が決まったのかコマ送りで見ると、“投げた側の背中がついているから、返し技が決まった”ってなることがある。

 でも、それは全然ちがう。技には一連の流れがあります。技に勢いがあり、キレがよすぎて、投げた選手が勢いで背中をついてしまうことがあっても、それは投げた側の一本なんです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト