ビジネス

就活において「飲食店バイトでコミュ力磨きました」は有効か

 就活で飲食店のアルバイトをアピールする学生が多い。なぜなのか、それは本当に有効なのか。千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が教える。

 * * *
「学生時代に力を入れたことは、飲食店でのアルバイトです。いつも相手の顔を見て、笑顔を心がけ、あたたかいコミュニケーションを意識しました。結果として、お客さんにも笑顔で帰ってもらいました。アルバイトで磨いた、この笑顔とコミュニケーション能力を活かし、御社では営業として頑張りたいと思います!」

 きましたね。よくある、就活での「飲食バイトで、“コミュ力”身につけました」アピールです。エントリーシートでも、面接でもよく使われるネタですね。

 このアピールは突っ込みどころがいっぱいです。お客さんが笑顔で帰ったのは、生中とツマミが美味かったからですよ。あなたの笑顔は、ウザいと思っていたかもしれません。

 それは冗談として、笑顔だけで営業では活躍できませんから。目標達成意欲、戦略性、提案力が必要ですから。

 いや、飲食店アルバイトをしたらダメというわけではないのですが、このアピールの仕方は、誰もがやることであり、没個性的です。面接官に響くアピールにはなりません。「またか」と思ってしまいます。

 それにしても、この「飲食バイトでコミュ力磨きました」アピールというテンプレ、何故、そうなるのでしょう?これには、ちゃんと理由があります。

 まず、なぜ飲食バイトをアピールするのかについて考えてみましょう。4月から大学の専任教員になりました。今まで以上に学生との接点が増えました。学生がしているアルバイトは、ほとんどが広義の飲食店です。

 データでも見てみましょう。リクルートジョブズの「タウンワーク」が、2014年春に社会人1年目〜3年目に対して行った「大学生での初バイトランキング」(大学を卒業した22歳~25歳の社会人600人に、2014年3月27日~4月7日に実施 調査協力:株式会社クロス・マーケティング)によると、男性ではベストテン内に、第3位にファミレス、第5位に居酒屋、第6位にファストフード、第8位に飲食店スタッフが、女性は第2位に飲食店スタッフ、第4位にファストフード、第5位に居酒屋、第6位にファミレス、第7位にカフェが入っています。

 なお、男女とも第1位はコンビニでした。あくまで「大学生での初バイト」でありますし、第1位になっているわけではないのですが、ベストテンの中にこれだけ飲食系のアルバイトが入っています。

 ブラック企業対策プロジェクトは4月28日に「ブラック企業対策プロジェクト 学生アルバイト全国調査結果(全体版)」を発表しました。これは、全国の27 の国公私立大学に在籍する大学生(国立大学3大学、公立大学1大学、私立大学23 大学)に対して、2014年7月に実施し、詳細版調査票有効回収 3227 票、短縮版調査票有効回収1475 票、計4702 票をもとに集計した、労作です。

 これによると、大学生が「これまで経験したアルバイト(複数回答)」について居酒屋18.7% 、ファストフード店・チェーンのコーヒー店15.4%、その他のチェーンの飲食店29.3%、その他の個人経営の飲食店10.1%との回答がありました。学生がどの業種でアルバイトをしているのかは、この調査の主目的ではありませんが、それでも、かなりの割合が飲食店でアルバイトをしていることが伺えます。

関連記事

トピックス

事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
チームを引っ張るドミニカ人留学生のエミールとユニオール(筆者撮影、以下同)
春の栃木大会「幸福の科学学園」がベスト8入り 元中日監督・森繁和氏の計らいで来日したドミニカ出身部員は「もともとクリスチャンだが幸福の科学のことも学んでいる」と語る
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン