さらに、飲食バイトといえば、シフト問題があります。そう、人手不足であるがゆえに、社会のことをよく知らない、店長よりも年齢が下である学生にバンバン、シフトを入れるのです。学生たちを見ていると、別に生活費に困っているわけでもないのに、言われるままに週5のシフトが組まれていくわけです。当然、学業も阻害されます。ブラックバイトといえば、サービス残業、ノルマ達成のための商品購入の強要、各種ハラスメントなどが問題となるわけですが、実はこのシフト強要問題というのが学生にとって大きいのではないかと感じた次第です。
先ほどご紹介した「ブラック企業対策プロジェクト 学生アルバイト全国調査結果(全体版)」によると、学生全体のうち25.7%、4人に1人が、「会社の都合で勝手にシフトを変えられることがある」と答えています。また、シフトに入りたくないときに、入れと言われた経験がある学生は32.3%、約3割にのぼっています。特に「居酒屋」においては、会社の都合による勝手なシフト変更の割合が高く34.6%にものぼっています。
この手の話をすると、ネットでは「嫌ならやめろ」という論が盛り上がるわけですが、いや、若い学生にはそういう発想すらなかなかうまれないわけです。大学生は、いや高校から、ブラックバイト対策のための指導をするべきだと思った次第です。
というわけで、いつの間にか「飲食店のバイトでいっぱいの大学生活」が出来上がってしまうのです。そりゃあ、就活でアピールのネタにせざるを得ないよな、という話です。
さらに、「コミュ力アピール」ですが、これも大人がそう誘導してしまっている部分があります。経団連が毎年発表している、新卒採用に関する調査では、学生に求める力の1位は長年、「コミュニケーション能力」なのですね。ただ、これはカラクリがあって、「24の能力要素から、必要だと思う力を5つ選択する」という方式なのです。もちろん「コミュニケーション能力」は必要ですが、企業は「最も求める力」として回答していない可能性があるのですね。
最後に、飲食店バイトをアピールネタにしたい皆さん、そこで身につけたことでコミュニケーション能力よりも、目標達成意欲、成長意欲、チームワークなどをアピールした方が響きますよ。コミュニケーション能力が高いかどうかは、会話のやりとりなどから判断されますからね。
というわけで、気づけば「学生時代に力を入れたことは飲食アルバイトでコミュニケーション能力を磨いた」と連呼する学生を、社会が作り上げているとも言えるわけです。みんな、マニュアルを読んだような同じようなことを言うなよと思ってしまうわけですが、それは大人たちにも責任があるのではないか、と。そう考えた次第です。皆さんはどう思います?