投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が6月15日~6月19日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は強含みか。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ開始が協議される可能性が高まっていること、日本銀行金融政策決定会合で追加緩和策が協議される可能性が残されていることから、日米金利差拡大への思惑が再浮上し、ドルは強含みに推移する見通し。
日米の金融政策決定会合で現状の金融政策の維持が決定された場合、ドル売りが優勢となる可能性がある。ただし、ドルが下落する局面では本邦機関投資家による外債投資などに絡んだドル買いが入るとの見方は多く、ドルが大きく売られる可能性は低いとみられる。
なお、中東やウクライナの地政学的リスクの増大やギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念が高まった場合、リスク回避の円買い圧力が強まることが予想される。ギリシャ債務協議の状況を注意深く観察する必要がありそうだ。
【連邦公開市場委員会(FOMC)】(16-17日)
3月と4月のFOMC声明では、利上げ開始の条件として、物価情勢と雇用情勢で「合理的な確信」が生まれた場合としている。米国の4月のコアインフレ率(コアPCE)は、前年比+1.2%の上昇に留まり、インフレ目標である+2.0%には程遠い数字だったが、5月の失業率は5.5%、非農業部門雇用者数は前月比+28.0万人となり、雇用情勢の改善を示す数字だった。
フィッシャーFRB副議長は、米国連邦準備理事会(FRB)では、「早めに緩やかに利上げするリスク」と「遅めに急激に利上げするリスク」を比較検討していると述べており、利上げのタイミングを見極めることになる。
【日本銀行金融政策決定会合】(18-19日)
国際通貨基金(IMF)が「日本経済審査分析報告書」で、日本銀行に対してインフレ目標2.0%達成のためには追加緩和を準備すべきと提言した。日本の4月のコアインフレ率は、前年比+0.3%であり、インフレ目標+2.0%を1.7%下回っていることで、IMFの勧告を受けた日本銀行金融政策決定会合での協議に要注目か。
【ユーロ圏財務相会合】(18日)
ギリシャ政府と国際債権団は、6月末の金融支援協議の期限、IMFへの債務返済の期限に向けて、各国議会での採決などの日程などから、18日のユーロ圏財務相会合までの妥結が求められている。
ツィプラス・ギリシャ首相が期限延長を要請しているとの報道やドイツ政府がギリシャのデフォルトに備えて準備中との報道もあり、ギリシャのデフォルト懸念が高まった場合は、リスク回避の円買い圧力が強まる可能性がある。
【125円:黒田シーリング】
黒田東彦日銀総裁が124円台で円安牽制発言をしたことで、125円が当面の円安の限界「黒田シーリング」の可能性が警戒されている。ドル・円が125円を上回る局面を迎えた場合、安倍政権からの円安牽制に警戒することになる。
黒田日銀総裁は、大蔵省国際金融局長時代に、1997年から1998年にかけて、4兆円規模の円買い介入を行っている。
6月15日-19日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。