「国連憲章は集団的自衛権の行使を制限していない上、日本国憲法も集団的自衛権を禁止してはいません。違憲のはずがありません」(百地氏)
さらに百地氏は、こうも話した。
「200人ほどの憲法学者が集まって『違憲』と声明を出していることに関しても、それが憲法学者の多数派だとは思わない。周囲の憲法学者と話していて『集団的自衛権は合憲だ』という人たちは何人もいる」
ただし、本誌も3人以外の「合憲派」を「たくさん」見つけ出すことは難しかった。第一線で活躍する憲法学者となればなおさらだ。一説には「憲法学者は1000人程度いる」(憲法学会関係者)とされるが、著名な憲法学者は総じて「違憲」の立場をとっている。
タンカを切って恥をかいた菅官房長官も苦労したようだ。
「4日の審査会以降、官邸は必死で『合憲派』で名の知られた憲法学者を探したが、想像以上に難航したらしい」(前出・自民党代議士)
結果、10日の衆院特別委員会一般質疑で菅氏が「合憲派」として名前を挙げたのは3人。本誌も取材した西氏、百地氏に加え、長尾一紘・中央大名誉教授のみだった。
菅氏もさすがに少数派と認めざるを得なかったのか、「数(の問題)ではない」と開き直った。数ではない、というならば、法案を国民が納得するまで審議すべきだ。ゆめゆめ数の論理による強行採択などあってはならない。
※週刊ポスト2015年6月26日号