夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは広告代理店勤務のご主人(47歳)。奥様(47歳)は、口がとても軽いのだとか。
* * *
学生時代の友人によると「歩く拡声器」と呼ばれていたそうです。人当たりも面倒見もいいので、すぐに人に信用される妻。相手はいろんな相談や自分の秘密を話すのですが、「ここだけの話だけど」と、秘密の話をすぐ他人に話してしまうんです。
それでも太々しく、「皆、結局、いろんな人に知って欲しいのよ。じゃなきゃ“歩く拡声器”って呼ばれる私にいうはずないでしょ。女の“絶対にいわないでね”は“いってもいいわ”と同義なの」。なるほど。女性の本質をついていますし、自分が「歩く拡声器」と呼ばれてることを知っているのにも驚きました。
ただ、これだけ口が軽いと友人が減りそうなのに、逆に増えてるんです。「私、軽い秘密は広めちゃうけど、『墓場まで持っていくような秘密』は誰にもいわないのよ。私がその秘密を持っている以上、バラされるのが怖いから離れていく人はいないわ」「へぇ~。でも、それをどうやって聞き出すんだ?」「簡単よ。自分も『墓場まで持っていくような秘密』を相手に話せばいいの。心理学でいう『秘密の共有』ってやつね」。なるほど!
でも、妻の「墓場まで持っていくような秘密」が気になります。「教えてくれよ」「いいわよ。私のじゃなくてアナタの秘密。恥ずかしくて人には知られたくないヒ・ミ・ツ!」「オレの? もしかして下半身事情?」「違うわ。それはもう皆に話しちゃってるもの」。バ、バカ! 怒鳴り返そうと思ったけど……それ以上のオレの秘密って、何だよ?
※週刊ポスト2015年7月3日号