ゆうちょ銀行はすでに2008年よりスルガ銀行と提携して住宅ローンの代理業務を行っている。今後、自前で設計した住宅ローンを売り出すことが認められた場合、多くの国民から「借りやすい銀行」として認知されるチャンスが転がっているというのだ。
そうなると、第二地銀、信用金庫、信用組合など地場に密着した中小の金融機関と顧客の奪い合いになることも想定されるが、「地方金融機関との大同団結もあり得る」と、前出の小泉氏は見ている。
「金融庁はただでさえ地銀の数が多すぎると経営統合を促しています。そんな状況下でゆうちょ銀行だけ大きくなっていくのはバランスが悪い。そこで、地方の提携銀行を増やして手数料収入を得たり、貸し倒れリスクを半々にしたりするなどの協業案が出てくることも考えられます」(小泉氏)
いずれにせよ、完全民営化を志向するのであれば、自ら利益を追い求めて魅力的な商品・サービスを提供できなければ生き残れないのは当然だ。日本郵政グループの上場で国民の利便性がどれだけ高まるのか、注視していきたい。