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激安中古ガイシャ 走行距離長ければ長いほど故障せぬ可能性も

 ガイシャといえば高いというのは間違い。たとえばモテオヤジのアイコンであるパンツェッタ・ジローラモ氏が乗っていたマセラティでも50万円で買える。こんなに安いと故障だらけでかえって高くつくのでは? という不安に応えるべく、これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(53)が、激安ガイシャ選びについて分析する。

 * * *
 まず、マセラティがどういうクルマかというと、創業時は革新的なレーシングカーをつくってサーキットを席巻したイタリアの超名門。歴史から言えばフェラーリより格上で、マセラティオーナーとして有名な作家の北方謙三先生によれば、「マセラティに比べたらフェラーリなど新興成金である」

 ではなぜそんな名門が50万円で売られているかと言えば、ズバリ、故障しまくるからである。正確には、新型ギブリなど現在のマセラティは劇的に信頼性が向上したが、20世紀製のビトルボ(ツインターボ)系マセラティは故障しまくる。なぜかと言えば、従業員がワインを飲み、歌いながらクルマを作っていたからだ。本当のことである。

 今はそれをやめたのであまり故障しなくなったが、そのぶん中古車相場も劇的に高くなった。やはり世の中、壊れるクルマは安くなる。

 マセラティは猛烈にカッコいい。特に20世紀のマセラティは震えがくるほどカッコいい。長い歴史のなかで経営が二転三転した“没落貴族”的なところも含め、いかにもすぐに壊れそうなところがまた、デカダンでイカしているではないか。男として一度は乗りたいクルマである。

 なにを隠そうこの私、14年ほど前、激安マセラティを購入したことがある。走行11万km、車両価格88万円の430(新車価格約800万円)というモデルだった。

 私がそれを買ったのは、ズバリ、「世界一故障するクルマを体験し、男の鍛錬をするため」だった。だから一番故障しそうなクルマをあえて選んで買ったのだが、なんと所有していた1年半の間、一度も故障しなかった。理由は走行距離にあった。

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