芸能

江守徹 俳優にとって大事なのは何度も台本読み理解すること

 デビューから現在も文学座に所属する俳優の江守徹だが、時代劇での活躍も数多い。江守が語る時代劇での所作や勧善懲悪を単純なドラマに陥らせないために工夫を重ねた経験を語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏の週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』からお届けする。

 * * *
 江守徹は1973年の『国盗り物語』、1974年『勝海舟』とNHK大河ドラマに立て続けに出演した後、「忠臣蔵」を題材にした1975年の『元禄太平記』では大石内蔵助役に起用されることになった。

「三年目に内蔵助が来たんですよね。役が段々とよくなって、最後についに主役が来たなと思いました。プレッシャーというよりは『よし、やってやるぞ』という気持ちが強かったですね。

 内蔵助というと映画だと中年のイメージがあるので『えっ、なんで俺が?』と思ったんですが、台本を読んだら最初に江戸に来た若い時代から始まってるんです。それで『これならできる』という感じがしました。

 我慢して自分の本心を隠して本懐を遂げるという、日本で一番人気のある話で、それを一年間かけてやることは自分でも楽しみでした。せっかく大役をもらったんだから、これに賭けるという気持ちで。

 時代劇の鬘(かつら)で嫌なのは、後ろ髪だったんです。そこを何とかしたいと思って、自分の毛を長く伸ばして、後ろも自分の毛を使ったんですよ。僕は襟足がちょうど逆髪になっているから、上に持ち上げるのにちょうどいいと思ってね。結髪の人は毎回大変だったでしょうけど」

 1976年にはテレビシリーズ『隠し目付参上』(TBS)に主演、三船敏郎と共演している。

「三船さんはいつも黙っている人でしたね。俳優は撮影の合間に待たされることが多いんですが、その時もずっと腰掛けてジッと考えていました。

 三船さんの殺陣は上手かったですね。ただ、殺陣というのも特別に難しいことではないんです。相手がこう来たらこう斬るという段取りさえ覚えていればできるんだから。その役になろうと思って刀を持てば、誰でもできることだよ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン