国内

大学イッキ飲みの悪習健在「バケツに日本酒、焼酎を配合」も

アルコールハラスメント被害は減らず

 嫌がる相手に無理やり酒を飲ませる行為は、いまやアルコールハラスメント(アルハラ)として、立派な強要罪に該当する。学生など若者の「イッキ飲み」による急性アルコール中毒死事件が繰り返される度に、大量飲酒の危険性が叫ばれてきたが、十分な抑止力にはなっていないようだ。

「こんなに辛い思いをする親はわれわれで最後にしたいと思い、提訴に踏み切った」――。

 2012年、東京大学テニスサークルのコンパで大量飲酒をした息子(高原滉さん)を亡くした両親が、サークルメンバー21人を相手取り、約1億7000万円の損害賠償を求める裁判を起こした。高原さんは同サークルで恒例となっていたラッパ飲みの“儀式”に従い、アルコール度数25度の焼酎原液を1.1リットル飲んだ後に意識不明に陥ったという。

 子供を飲酒事故で亡くした親らでつくる市民団体「イッキ飲み防止連絡協議会」によれば、1983年以降で112人、直近10年間でも34人の大学生や専門学校生などが無謀な飲酒で命を落としているという。急性アルコール中毒による救急搬送も毎年1万人を超え、一向に減る気配がない。

 全国の大学では、サークルやクラブの代表者にイッキ飲みを強要しない誓約書を提出させたり、「飲めません」を書かれたバッジを配布して飲み会で付けるよう指導したりと、あの手この手の防止策を取っているが、効果のほどは疑問だ。

「最近は、『飲め飲め』と皆でイッキを煽るような光景こそ少なくなりましたが、新歓コンパで一発ギャグなどをやらせてウケなければ注がれた酒を自ら飲み干すといった暗黙の“ルール”は生きているので、そのプレッシャーで飲まざるをえない空気が蔓延しています」(神奈川県の私立大学職員)

 前出の協議会に寄せられた「こわい飲み会エピソード」には、依然としてこんな悪質な事例が寄せられた。

〈大学のサークルでは、両手に瓶ビールを持ち、替え歌を歌いながら2本を空にしなければならず、帰ろうとすると部長から「遠慮はしないで」としつこく言われた〉

〈アルコール度数が非常に高いお酒をイッキ飲みさせられた。危険を感じた同級生がお酒のビンを隠すと、激怒した先輩が「ビンを見つけたやつはイッキ飲みを免除する」というルールを設け、全員でビンを探す羽目になった〉

〈サークル合宿。数十人の先輩がはやし立てる前で新人は直立不動で大声で挨拶させられ、面白くなければ一気飲み、面白くても褒美として一気飲みさせられた〉

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン