駅名の一部が「誤植」だったことがネットで話題になった。たわいもない話だが、大人力コラムストの石原壮一郎氏は「それこそ健康的」と指摘する。
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どちらかというと地味キャラだった北千住(東京都足立区)が、はからずも熱い注目を集めています。きっかけは東京メトロ千代田線の北千住駅に掲げられた駅名の看板。ちょっと前に架け替えられた看板の「北千住」の「千」の字が、なんと、洗濯物を干すの「干」になっていました。
制作を担当したデザイン会社のミスとのことで、東京メトロはとりあえず看板の「干」の部分にシールを貼って対応し、8月中に正しい表記の看板を設置しなおす予定だとか。それはさておき、自分は今までずっと「きたせんじゅう」だと思い込んでいました。入力するたびに「北千住鵜」と出てきて、勘違いに気づいた次第です。
こんなノンキな出来事が大きな話題になっているところに、平和のありがたさをあらためて感じずにはいられません。もしかしたら、本気で「ケシカラン!」と目くじら立てている人もいるかもしれませんけど、その無駄に暑苦しい正義感にむしろ感心します。
ノンキな事件はノンキに楽しむのが、大人としての粋で美しいスタンス。さっそくツイッターやフェイスブックなどのSNS上では、自分の名前に「千」が付く人が、それをこっそり「干」に変えて反応を伺うなど、事件をネタに遊んでいる光景が見られます。
残念ながら自分の名前に「千」や、あるいは「臼」「白」がついていなくても大丈夫。この出来事をネタにする余地は、たくさんあります。あなたがもし千代田区や千葉県や千駄木や、あるいは京都の三千院に縁があれば、話題の新鮮味が薄れないうちに「もしかしたら、間違えて『干』になっている看板があるかもしれないよ。探しに行ってみよう!」と無邪気にはしゃぎましょう。まさに千載一遇のチャンスです。
ちなみに、愛知県瀬戸市汗干町(あせびちょう)や愛媛県今治市衣干町(きぬぼしちょう)など「干」がつく地名に住んでいる方も、うかうかしている場合ではありません。「もしかしたら、間違えて『千』になっている看板が……(以下同)」とはしゃいで、粋な大人っぷりを見せつけましょう。
似ている漢字は「千」と「干」以外にも、たくさんあります。大河ドラマの舞台にもなっている山口県萩市の「萩」と、東京都杉並区荻窪の「荻」は、お互いにさんざん間違えられてきたはず。「『萩市』って10回言ってみて」「萩市、萩市、萩市……」「阿佐ヶ谷と吉祥寺のあいだにある町は?」と、懐かしの10回クイズを出してみるのはどうでしょうか。もし相手がこんなわかりづらい意図を汲んでくれたら、一気に距離が縮まりそうです。