その成功の証ともいえるのが、プロ野球チームのオーナーになることだった。武雄氏は野球好きで知られ、日本では千葉ロッテ、韓国ではロッテジャイアンツと2つのチームを所有する。
ロッテオリオンズ時代に監督を務めていた金田正一氏は、親交の深い武雄氏をこう評する。
「千葉ロッテは毎年赤字の連続で、普通のオーナーならとっくに手放している。それを広告宣伝費という名目で黙って補填してきた。武雄さんは義理堅く、一度引き受けたものは最後まで責任を持つ。武雄さんだからこれまで身売りしないで持ちこたえてきた」
実際、同球団はこれまで何度も身売りが取り沙汰されてきたが、武雄氏は首を縦に振らなかったという。だが、今回の騒動で、その武雄氏が完全に経営から外れることになったのだ。ある韓国紙の記者はいう。
「韓国では、『ロッテは韓国で稼いで日本で使う』企業と考えられていて、イメージが良くない」
いまや日韓のロッテグループ売上高の比率は、日本が4000億円で、韓国は4兆9000億円(2013年度)と完全に逆転し、差は開く一方だ。
日本のロッテグループは利益を上げているだけに、目立つのは千葉ロッテマリーンズの赤字だ。トップに立つ昭夫氏がこうした空気を感じていないわけがない。今後、千葉ロッテが身売りされる可能性が現実味を帯びてきた。
※週刊ポスト2015年8月14日号