ライフ

「寿退社」は失業手当出るが「自己都合退社」は出ない不条理

 世の中には《公的差別》が存在するが、これらは多くの場合、差別を受ける当事者が気付かないような「制度の隙間」に隠されている。

 職場の同僚、学校の同級生、マンションのお隣さんなど、置かれた立場や生まれた年、生活環境が自分とほとんど変わらないと思っていた相手が、なぜか国から手厚い社会保障サービスを受けている。あるいは社会的地位が高く、収入にも恵まれた人がなぜか自分よりずっと軽い税率の恩恵を受けていた。

 そんなすんなりと納得できない不条理な制度が《公的差別》だ。

 その一例を紹介すると、同じ職場に同じ期間勤めていても、「寿退社」なら失業手当がもらえるが、「自己都合退社」だともらえない。

 雇用保険制度では失業手当を受給するには原則「1年以上」の勤続(雇用保険加入)期間が必要だ。しかし、たとえ勤続1年未満でも、結婚で夫の勤務地に転居する場合は「特定理由離職者」として最長90日間、失業手当を受給できる。だが、例えば離婚して実家に帰るために会社を辞めると失業手当の受給資格はない。表向きの理由はこうだ。

「結婚や夫の転勤に伴う転居で通勤困難になった場合、退職する正当な理由があるとみなされます。しかし、親と一緒に暮らすために働いている会社を退職して、引っ越すことになっても“実家に戻るのはあなたの都合でしょう”と勤続1年以上の受給条件が厳格に適用されます」(社会保険労務士)

 リストラなど会社都合退職か、自己都合退職かによっても受給できる期間や条件が違う。

※週刊ポスト2015年8月21・28日号

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン