ビジネス

肉に続く熟成魚ブーム 衛生管理わきまえない便乗店に懸念も

熟成寿司の名店 「鮨處やまだ」(銀座)店主の山田裕介さん

 一定期間寝かせた肉を食べる「熟成肉」ブームが続いているが、今度は「熟成魚」を提供する寿司屋や海鮮居酒屋が人気となっている。

 東京・銀座にある「鮨處やまだ」は、知る人ぞ知る熟成寿司の名店だ。

 芸能界きっての食通として名を馳せるアンジャッシュ・渡部建が、「新鮮なマグロよりも熟成させた寿司のほうが旨味も強いし香りも強い」と絶賛したり、漫画『江戸前の旬』(日本文芸社)に登場したりと、注目度は一気に高まった。

 店主の山田裕介さんが、熟成寿司のこだわりについて語る。

「古くから江戸前寿司の中には、魚を保存させる目的で『昆布締め』や『塩・醤油漬け』などにしてネタを出す店はたくさんありました。マグロやブリなどの大型魚は日を置いたほうが美味しいとも言われていますしね。

 ただ、私はさらに魚の旨味を凝縮するにはどうしたらいいかを追求し、寝かせる期間や温度、湿度を変えながら、いわば全く新しい概念でバージョンアップした熟成寿司をお客さんに提供しています」

 同店のメニューは15貫1万円の「おまかせコース」が基本。値段は少々高めだが、それぞれ魚の状態を見極めながら3日~1か月ほど丁寧に水分を飛ばしていく手間や、熟成させるとネタとして提供できる部分が少なくなってしまう歩留りの悪さ、そして何よりも店主の“職人技”を味わえることを考えれば、コストパフォーマンスは申し分ない。

 一方、地方に根付く熟成文化の名産品を改めて売りにする「ご当地酒場」も登場している。今年6月、東京・日本橋にオープンした「熟成魚場 福井県美浜町」はその代表だ。

 同店をはじめ、アンテナショップ型居酒屋を次々と出店させている株式会社fun functionの合掌智宏社長がいう。

「美浜町には大漁祈願で特別な日に食べていたといわれる塩蔵熟成の『塩熟ぶり』や、サバを長く保存しながら食べることができる糠(ぬか)熟成の『へしこ』など、古くから熟成や発酵の文化が根付いています。

 そうした昔ながらの郷土料理、美味しい魚の食べ方を町のPRとともに改めて伝えられたらと思い、美浜町公認のコラボ居酒屋をオープンさせることにしました」

 同店では「伝統へしこ刺し(税抜き690円)」、「塩鰤の旨酒煮(890円)」のほか、鯛、サワラ、スズキ、ブリなど魚に合わせた温度や湿度で熟成させた「美浜の刺身盛り(1人前1000円)」も堪能できる。

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト