これら熟成魚ブームの高まりによって、「今後懸念されることもある」と話すのは、日本外食新聞編集長の川端隆氏だ。
「肉も魚もそうですが、きちんとした衛生管理の下で魚の旨味を最大限に引き出す熟成技術をわきまえないと、食中毒などのリスクは高まります。今後、ブームに便乗しただけの飲食店が増え、問題を起こせば一気に規制強化されてしまう恐れがあります」
前出の山田氏もこんな心配事を口にする。
「熟成法に教科書はありませんし、長く寝かせたからといって何でもかんでも美味しくなるとは限りません。あまりコストをかけたくないという店が中途半端に熟成寿司に参入して、かえって味や品質を落とすことにならなければいいですが……」
「鮮度=美味しさ」の固定概念を覆す熟成魚。消費者自身がブームに流されず、品質の良し悪しを感じ分ける“味覚”を養うことも重要だろう。