夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは通信メーカー勤務のご主人(50歳)。奥様(48歳)は結構面倒くさがり屋さんです。
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料理でもその気質は変わりません。弁当は握らない「おにぎらず」か、揚げずに食材を重ねた、平野レミさん作で有名な「食べればコロッケ」。冷蔵庫の食材チェックも適当で、買った肉の賞味期限が切れてしまうこともしばしば。
すると、家内は「今、流行りの熟成肉よ。美熟女が出す熟成肉、め・し・あ・が・れ」って、お腹こわしたらどうするんだよ! 「めしあがれ」って江戸時代なら、召し捕られてるぞ!
この夏は手間のかからない素麺ばかり。「ほかにないのか?」と聞くと、「何がいいの?」「素麺以外なら何でもいいよ」「う~ん、調理に時間かかるわよ。それに食材を買いに行く分、さらに時間がかかるし」。つまり、「何がいいの?」と聞いても、選択肢はゼロ。
「ご飯だけでいい。お茶漬けにして食べるから」
「お米もお茶も切らしているの。お中元は素麺ばっかりなんだもん」
そしてついに、「素麺のつゆが切れちゃった。醤油かソースでいいわね?」。僕がブスッとしていると、「こういう時は笑顔で『ソーッスか』っていうの! 私が『しょうゆうこと』って答えるから」って、できるか! そんなお前には笑顔ゼロの塩対応だ!
※週刊ポスト2015年9月4日号