ここ10年の男性スーツ市場は、2007年の3099億円をピークに2013年には2183億と、約1000億も縮小。苦境が続いている。そんな中、「イージーオーダーやパターンオーダーを中心としたオーダーメイドスーツ市場が密かに注目されている」(矢野経済研究所)のだ。
では女性ファッションにおいてはどうか。男性よりもデザインやサイズの幅が広い女性ファッションにおいて、オーダーメイドが大きな潮流になるのは難しいだろうが、需要は確実に増えていると前出の岩崎氏は語る。
「名のあるブランドよりも、自分が好きなものを着たいという意識は女性にも広がっています。また、最近は、ハンドメイドのCtoC(個人間取引)サイトが会員を増やしているように、“手作り”志向が強まっている。オーダーメイドへの興味・関心は高まっていると言えるでしょう。男女問わず、細分化・多様化するニーズに答えられれば、今後も確実に拡大が見込める市場です。日本の高い縫製技術を活かすチャンスでもありますね」
世を席巻するファストファッションとは対極をなすオーダーメイド服。多くなくていい、安くなくていい、だけど主体的に服を着たい――そう考える、今どきのお洒落人に選ばれている。