《「近いうちに自分は、この見城徹という底しれない怪物と接触することになる」
そうはっきり確信しました。怪物は怪物を知る。心の奥深くに封印していた私の中の怪物が、あなたと交わりたくて鋼鉄の扉をドンドンと叩きつづけているのです》
Aはまた、見城氏へ宛てた手紙の中で、“表現すること”への渇望感を明かしている。
《私には四十歳までに何としても実現したい具体的なヴィジョンがあります。そのために、この暑苦しい「普通の羊」の着ぐるみを脱ぎ捨て、9年ものあいだ封じ込めていた“異端の本性”を呼び覚まし、精神をトップギアに入れ、命を加速させ、脇目もふらず死に物狂いで「一番肝心な」三十代を疾走してやろうと決めたのです》
《私にあるのは、研ぎ澄まされた感性の触角と、ふてぶてしいまでの生命力と、荒ぶる“表現の本能”だけです。私はそれらを武器に、破滅を覚悟で人生最大のロシアン・ルーレットに挑むことにしました。したり顔の見も知らぬ他人に様々なかたちで蹂躙され、搾取されてきた自らの物語を自らの言葉で奪い返さないことには、私は前にも後ろにも横にも斜めにも一歩も動き出すことができないのです》
そして、見城氏に対してこう選択肢をなげかけている。
《この手紙を受け取ったあなたは今、歴史のY字路に立っています。あなたがこの手紙をどう扱うか、それによってあらゆる“表現の未来”が変わります。
闇に葬られた1990年代最大の異端児を、日本少年犯罪史上最悪のモンスターを、他ならぬ「見城徹」の手で歴史の表舞台に引きずり出してみたいとは思いませんか? 赤でも青でも緑でも黄色でもない、あなたが「地の果てまでも行っても見たい」と言っていた、いまだかつて誰も見たことのない原色を最前列でお見せすることを約束します》
2人の子供を身の毛もよだつ手口で殺した自分について、《’90年代最大の異端児》と称し、出版社に熱烈な売り込み営業をしかけていたのだ。
※女性セブン2015年9月25日号