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2015.09.20 07:00  SAPIO

企業の生き残りに必要な「3つのクラウド」を大前研一氏解説

 たとえば、日本で発注したら3000万円以上かかるシステム設計は、フィリピンの人材に委託すると70万円でお釣りがくる。40倍以上の人件費の差がクラウドソーシングによって克服できるわけで、いまやブルーカラーよりもホワイトカラーのほうが国境を越えやすい時代になったのである。

 さらには事業資金も、良いアイデアであればクラウドファンディングによって不特定多数の人たちから容易に調達できる。実際、スマートウォッチのベンチャー企業「ペブルタイム(PeBBle Time)」は、クラウドファンディングサイトである「キックスターター(KiCkstArter)」で2000万ドル(約25億円)もの資金を集めた。

 このため、いまアメリカの大手ベンチャーキャピタルは、新たな投資機会が見つからなくて困っている。彼らの元には数千億円のカネが集まっているため、100億円単位の投資先を求めている。ところが、有望なベンチャー企業を輩出するシリコンバレーでは、ペブルタイムのようにクラウドファンディングで資金を集めるケースが増えているからだ。

 そのうえ、ローコストに事業が進められるクラウドコンピューティングやクラウドソーシングの発達によって「サブミリオン」と呼ばれる、100万ドル(約1億2500万円)未満の資金でスタートして2~3年で急成長する企業が多くなった。事業に多額の資金を用意する必要がなくなったのである。

 20世紀の経営の三要素は「ヒト・モノ・カネ」と言われたが、いまやそれが三つのクラウドで代替できるようになり、すべて自前で持つ必要がなくなったと言っても過言ではない。21世紀の経営資源は、新しい事業環境が見えていて良いアイデアを生み出せる一握りの傑出した人間だけでよいのである。

 言い換えれば、三つのクラウドを理解しているかいないかで、見える景色は全く違う。三つのクラウド時代の景色が見えている人にとっては、これほど事業機会があふれている時代はない。実際、そうした人たちに聞くと、少し考えただけでも、新しい事業アイデアが10も20も簡単に出てくると言う。

※SAPIO2015年10月号

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