やがて日本でも同様の展開となり得る可能性はある。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。
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投稿された動画の中で、小学校の高学年から中学生まで女の子たちが群れになって一人の女の子を暴行する。もはや抵抗する気配もない女の子に対して順番に、そして執拗に殴る蹴るを繰り返す。しかも、時に殴っているグループの女の子が撮影者に向かってピースサインを送る……。
いま中国の投稿動画サイトには、小学生や中学生による集団暴行を映した動画があふれている。あまりの数の多さに2015年に入り地元メディアでも取り上げられる機会が増えてきている。
8月14日、CCTVの報道番組「今日説法」が「女性群殴事件調査」というタイトルで取り上げたのは、今年6月に江西省で起きた集団暴行事件だった。
一人の女の子を9人の女の子で暴行した事件だが、きっかけは半年前程に被害者の女の子が授業中に騒いでいた加害グループのリーダーを注意したことだった。驚くべきことは暴行に加った9人のうち、リーダー以外の8人は被害者と面識がなかったということだ。
「悲惨な事件で人々の関心が高く、怒りの書き込みがネット上に溢れた」(北京の夕刊紙記者)というが、このケースはまだしも暴行を受けた女の子が不登校に追い込まれたことで警察が動き、問題化深刻化する前に収まったが、現在中国各地で起きている〝校園暴力〟(校内暴力)では、死亡に至るケースも少なくない。実際、ある統計によれば、暴行が殺人に発展したケースは全体の16.7%に達しているという。
番組「今日説法」のなかでも、今年1月から5月までの間にメディアに取り上げられた校内暴力の動画は40以上に上り、全国の学生に対するアンケートでは、およそ10人の一人が被害にあったと回答したと報道している、深刻な社会問題となっている。
問題の悪化を受けて法制網及び情監測センターが出した報告によれば、こうした事件は全国で広く報告されていて、中心は中学生と高校生だという。内訳は、中学生が42.5%、高校生が32.5%。そして、小学生が2.5%だった。全体の約85%が同性間で起きているという。そして、前述したようにこうした暴行事件のうち、16.7%が死亡事件にまで発展しているのだ。
動画が身近になったことで明らかになった問題か。それとも新しい社会の変化を反映しているのか。いずれにしても心が寒くなる現象といわざるを得ない。