「普段ネットを見ないのですが、周囲から『大丈夫?』って心配され、よくよく聞いてみると私の発言で“炎上”してるって(苦笑)」
予期せぬ“攻撃”にさぞ動揺しているかと思いきや、さにあらず。落ち着いた口ぶりで、佐藤さんはこう続けた。
「考えてみるとウチは特殊で、灘校は男子校のうえ、自宅から学校まで片道1時間40分かかります。さらに途中で大阪の塾に寄るから、子供たちは恋愛する時間がなかった。彼らは男友達とばかり遊んでましたよ」
とはいえ、話が“女友達”に及ぶと一転、毅然とした口調で、ブレない持論を展開した。
「男の子と遊ぶのはいいんですよ。でも、女の子が相手だと、家に帰ってきてからも後を引くんです。私は恋愛自体を否定しないけど、1日は24時間しかありません。とにかく時間が大事なので、起きてる間、学校以外の残った時間は恋愛ではなく勉強に使うしかない。しかも“今”、恋愛をしなくちゃいけないわけではないですよね。受験はそんなに甘くない。大人になると人脈やコネが絡むけど、受験は自分の努力だけが報われる美しい世界です。だから人生を賭けて頑張らないといけません」
なるほど、どこかの教授と教え子に聞かせてあげたいお言葉! そして公開対談の発言のほかにも、「リビングに勉強机を置く」「カップラーメンやスナック菓子は特別な日だけ」など、さまざまなルールを母子間で定めていると話してくれた。
…でも、親が「受験に9割」も干渉すると、子供自身の「決める力」が育たないのではないか? そんな疑問をぶつけると佐藤さんは間髪入れず、こう答えた。
「大学に入ってから、私は一切、口出ししていません。決断は子供たち自ら行い、相談されたこともない。大学を出て医師免許を取ってからは何をしてもいいし、医師にならなくてもいいんです。
よく勘違いされるけど、私が全部お膳立てをしても、実際にやるのは彼らです。小学校から毎日の予定表を私が書いて渡しましたが、それを見て彼らは段取りを学ぶわけです。
大人が手を貸すと、子供が一切、自分の頭で考えられなくなるというのは間違い。子供は自分でだんだんと学びます。皆さん、子供の自主性を心配しすぎず、子供をもっと信じていいと思います」
頭ごなしに押さえつけようとしたり、行く末の見返りを期待して必要以上に柔順になったり…互いの立場や価値観がグラグラと揺れ動いている昨今の世間を尻目に、佐藤さんの“後方支援”は実に適切適確で、ゆえに結果が伴ったようだ。
※女性セブン2015年10月8日号