ビジネス

VW不正でディーゼル激震 世界共通の排ガス測定基準が必要だ

VWの不正でディーゼル車不信が世界中に広がっている

 黒煙をあげて有害な排気ガスを撒き散らしていたイメージから一転、近年は環境性能の向上で、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)とともに「第三のエコカー」として再評価されていたディーゼル車。

 だが、そうした目覚ましい技術革新も、米国で発覚した独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題によって台無しになった。

 なにしろ世界で1100万台も販売されたVWのディーゼル車に検査逃れの“排ガス数値過少ソフト”が組み込まれ、実際に走行した際の窒素酸化物(NOx)の量は基準値の最大40倍にもなっていたというのだから、大気汚染の深刻さは計り知れない。

 そして、疑いの目はVWにとどまらず、他メーカーにも向けられている。

 米環境保護局(EPA)をはじめ、独・仏の運輸当局もVW以外のディーゼル車で大規模な検査を検討。早くも独BMWが米国で販売するSUV(多目的スポーツ車)からNOxの排出量が基準値を上回っていたと報じるメディアが出るなど、ディーゼル車バッシングは世界中に広がる一方だ。

 もちろん、日本も対岸の火事では済まないだろう。

 日本の排ガス規制は1990年代以降に強化されたこともあり、ガソリン車に比べてディーゼル車の普及率は高くない。しかし、輸入車の10台に1台が、環境規制をクリアして燃費や走行性能を高めた「クリーンディーゼル」仕様になるほど車種は増加。今年も7月までに9万台以上が売れている。

「問題のVWや傘下のアウディは日本でのディーゼル展開が遅れたために、これから主力車種を続々と販売する予定だったが、その他の輸入車は積極投入している。

 BMWは販売台数の約3割がディーゼル車、その他、メルセデス・ベンツやスウェーデンのボルボなども相次いでディーゼル車を発売し、マツダ、トヨタといった日本メーカーの攻略を掲げていた」(経済誌記者)

 特にマツダは早くからディーゼル車にこだわりを見せ、国内ディーゼル車シェアの7割を独占。主要車種でガソリン車とディーゼル車の両方を設定してきたほか、今年2月に発売した「CX―3」はディーゼル車のみという力の入れよう。固定ファンをがっちり掴んできた。

 しかし、今回のVW事件の煽りを受け、マツダの株価は急落。日本メーカーへの影響も懸念されている。

 メーカー問わずディーゼル車への不信感が高まる中、果たして各社がアピールするディーゼル車の環境技術に大きな違いがあるのか。

関連記事

トピックス

体調を見極めながらの公務へのお出ましだという(4月、東京・清瀬市。写真/JMPA)
体調不調が長引く紀子さま、宮内庁病院は「1500万円分の薬」を購入 “皇室のかかりつけ医”に炎症性腸疾患のスペシャリストが着任
女性セブン
被害男性は生前、社長と揉めていたという
【青森県七戸町死体遺棄事件】近隣住民が見ていた被害者男性が乗る“トラックの謎” 逮捕の社長は「赤いチェイサーに日本刀」
NEWSポストセブン
タイトルを狙うライバルたちが続々登場(共同通信社)
藤井聡太八冠に闘志を燃やす同世代棋士たちの包囲網 「大泣きさせた因縁の同級生」「宣戦布告した最年少プロ棋士」…“逆襲”に沸く将棋界
女性セブン
学習院初等科時代から山本さん(右)と共にチェロを演奏され来た(写真は2017年4月、東京・豊島区。写真/JMPA)
愛子さま、早逝の親友チェリストの「追悼コンサート」をご鑑賞 ステージには木村拓哉の長女Cocomiの姿
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
睡眠研究の第一人者、柳沢正史教授
ノーベル賞候補となった研究者に訊いた“睡眠の謎”「自称ショートスリーパーの99%以上はただの寝不足です」
週刊ポスト
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン