協会との関係は続く?(時事通信フォト)
IGアリーナの“こけら落とし公演”となった大相撲名古屋場所。東前頭15枚目の琴勝峰が初優勝を飾ったが、千秋楽の展開次第では史上初の琴勝峰、安青錦(東前頭筆頭)、草野(東前頭14枚目)のという3人の平幕力士による巴戦の可能性があった。その舞台裏では、5月場所後に相撲協会を退職した元横綱の白鵬翔氏をめぐり様々な思惑が交錯していたようだ。
千秋楽の本割の土俵では、星の差1つでリードする琴勝峰が安青錦を破って史上38回目の平幕優勝を決めたが、仮に最後まで優勝争いに残った草野が優勝していれば史上3人目の新入幕優勝だった。しかも草野は十両で2場所連続優勝しており、十両と幕内の3場所連続優勝なら史上初の大記録となるところだった。
草野は日大4年時に学生横綱に輝き、昨年5月場所に幕下最下位格付け出しで初土俵を踏んだ。入門したのは伊勢ヶ濱部屋だったが、その経緯について相撲担当記者はこう言う。
「熊本・宇土市出身の草野が角界入りしたきっかけは、同郷で2学年上の川副に誘われたこと。川副と同じ、文徳高、日大という進路を選ぶほどに慕っている。草野は当初、白鵬が師匠で川副も所属する宮城野部屋に入門する予定だったが、弟子の暴力問題を受けて閉鎖されてしまった。力士たちは伊勢ヶ濱部屋に転籍し、白鵬も部屋付きの親方となった。新弟子の入門も認められなかったため、草野は伊勢ケ濱部屋に入門するかたちとなったのです」
今年6月に師匠だった白鵬氏が相撲協会を退職し、宮城野部屋再興の可能性も厳しくなったと協会関係者が言う。
「宮城野部屋付だった元前頭・石浦の間垣親方が部屋を再興する可能性もあるが、難しいと見られている。間垣親方は幕内在位通算26場所で、部屋の継承(条件=幕内12場所以上)と扱われれば宮城野部屋の再興も可能だが、部屋の創設(条件=幕内60場所以上)と判断されたら最高位が前頭5枚目の石浦には資格がない。執行部と白鵬の関係を踏まえれば創設と扱われるものと考えられ、旧宮城野部屋の力士は伊勢ヶ濱部屋に事実上、完全転籍するかたちでしょう」