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便利になるとされるマイナンバー制度 特需に沸くのは官僚だけ

制度をPRする甘利内閣府特命担当大臣

 2015年10月から、12桁の個人番号を割り当てる「マイナンバー制度(正式には「社会保障・税番号制度」)」の「通知カード」が各家庭に郵送される。

 いま「内閣官房」のウェブサイトを開くと、「国家安全保障戦略」「原子力規制組織等の改革」といった政策の紹介に並んで、目のデザインが数字の「1」になった、なんとも力の抜けるウサギのキャラクターが掲載されている。

 このゆるキャラ「マイナちゃん」による「マイナンバー解説」特設サイトにはこう書いてある。

〈マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する社会基盤です〉

 大嘘だ。

 政府は「住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)」の導入時にも同じように利便性をアピールしたが、カードの交付率は5%前後とされる。「便利」どころか、導入費用の約400億円と年間130億円の運用経費が消え、役人の利権拡大につながっただけだった。

 マイナンバーでは、その10倍近い予算が必要になり、その恩恵にあずかる省庁や官僚の幅もケタ違いに広がる。

 まず、財務省はデータセンターの費用などに3000億円が必要と見込んでいる。

 財務省が提案した、マイナンバーによる消費税10%への引き上げ時の「2%還付案」(食品などを購入した際、いったん10%分を支払い、マイナンバーカードを提示して2%分を記録し後で口座に還付する案)は公明党などの反対により潰されたが、がっちりと利権は握っているのである。しかも同省は諦めることなく、マイナンバーカードを使わない“消費税専用ポイントカード”を発行する案まで検討している。別のカードと「ポイント蓄積センター」を作り、さらに多額の予算を獲得しようという戦略だ。

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