──お寺の主な収入は何でしょうか。
曹洞宗B:葬儀や法事の際にいただく「お布施」と「お墓の管理料」、それ以外に寺の維持・管理のために檀家の方々からいただく「護持会費」です。
護持会費は地方で年間5000円から1万円、都市部なら3万円程度といわれ、仮に1万円とすると300軒の檀家がいれば護持会費だけで300万円が寺に入ることになります。500軒あれば十分な収入になるし、余暇を楽しむ余裕も出るでしょう。ただし多すぎてもダメ。1000軒を超えると、全ての檀家さんを把握できなくなりかえって良くないといわれています。
また、すべてが自分の収入になるわけではない。檀家が多いほど安定収入が増えることに違いありませんが、お布施や護持会費の一部は総本山に寄進しなければなりません。檀家の数や住職の格によって異なりますが結構な金額になります。
臨済宗C:お坊さんは立派な袈裟を着て広い土地・家に住んでいるという裕福なイメージがあるかもしれません。確かに中には外車を乗り回したり、ゴルフ三昧だったりする住職もいる。でもそれは今やごく一部です。
地方では檀家さんでもある農家からのコメや野菜の「いただきもの」でなんとかやりくりしている人もいる。檀家の数が生活状況に露骨に反映されますよね。
浄土宗A:だから今やお坊さんの副業は当たり前です。昔は幼稚園や保育園の経営とお寺を兼業することも多かったのですが、最近では自らがガイド役を務める仏閣を巡るツアーを企画する旅行代理店業や、卒塔婆に文字を印刷する印刷会社を営むお坊さんもいますね。
臨済宗B:中には現役僧侶がマスターとなってバーを開いていたり、歌手としてCDデビューしたりすることも。こう聞くと華々しいですが、彼らの場合は副業で稼いでいるというよりは「バーや歌を通じて自分たちのことを知ってもらい、檀家数を増やしたい」というのがホンネでしょうね。
※週刊ポスト2015年10月16・23日号