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マイナンバー導入 貧困女子や老後破産問題が深刻化の懸念も

 10月中旬から11月にかけて、市区町村から、住民票に記載されている住所に通知カードで送られてくるマイナンバー。社会保障と税を管理する12桁の番号だが、マイナンバーが導入されることで、これまでの生活を見直さなければならない人も出てくる。家計の見直し相談センター代表で、ファイナンシャルプランナーの藤川太さんはこう語る。

「来年以降は、どんな仕事であっても、給料や報酬をもらうときは会社にマイナンバーを伝えなければいけません。そして、会社は税務署に提出する支払調書などに、支払った相手の番号を記載しなければいけません。

 これまですべての収入を正しく確定申告していない人もいましたが、そうした“脱税”はできなくなります」(藤川さん・以下「」内同)

 会社に黙って“副業”をしていた人は、それがバレてしまうことになる。

「会社員であればほとんどの場合、収入に応じた住民税が給料から天引きされています。今後はすべての収入を申告するようになるため、副業の収入を含めて計算された住民税の額が会社に請求されます。その額が、給料から想定される以上に大きければ、“会社以外で何か収入を得ている”ということが発覚してしまうかもしれません」

 たとえば、本業のA社では年間300万円の収入を得ながら、内緒でアルバイトしてB社から100万円もらっていたとする。これまではB社の100万円を申告せずにごまかしていたとしても、それができなくなる。そのため、住民税は、本来の収入とアルバイト代を含めた400万円にかかってくるため、住民税の請求額によって副収入がバレてしまうというわけだ。

「税務署はこれまで、調査費用がかかりすぎることなどを理由に、小さな金額であれば、調査をしていなかった。でもマイナンバーを使えば低コストで調査できるようになるのです」(藤川さん)

 また例えば、日雇い労働、キャバクラや風俗店での接客業などといった仕事では、これまで身元を隠して働くことができたが、マイナンバーの提出と本人確認が必須となってしまう。さらに、そうした職歴もマイナンバーに紐づいて残ることになる。

 なんとか日銭を稼ぎ、ギリギリで生計を成り立たせてきた人たちの中には、マイナンバーの導入と同時に、いろいろな計算が狂ってしまう人も多数出てくるだろう。

 貧困女子や下流老人、老後破産といった社会問題が、ますます深刻化する可能性がある。

※女性セブン2015年10月15日号

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