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新国立競技場案の有力候補者 伊東豊雄氏の実績と図案の特徴

 総工費の膨らみから大批判を浴びた末に白紙撤回となった新国立競技場の建設案。現在“出直しコンペ”が行われているが、「前回勝者のザハ・ハディド氏が辞退したことで、国内二大建築家による事実上の一騎討ちになる見込みだ」(設計事務所関係者)という。

 そのうちの1人が、伊東豊雄氏である(もう1人は隈研吾氏)。ここでは、伊東氏の実績と同氏の生み出すデザインの特徴を見てみよう。

 太陽光パネルを敷きつめた楕円形の屋根に長方形の穴が空いたデザイン。芝を育てるための日照を図りながら、コンサート時には十分な遮音ができるような可動式屋根を採用している。すだれのように見える外壁からは自然の採光と通風が得られる仕組みとなっている。これは前回公募で最終審査11作品に残った伊東氏が提出した図案だ。

 伊東氏は1941年日本統治時代の朝鮮京城府(現・ソウル)生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、大阪万博のランドマークとして建てられた「エキスポタワー」(現在は撤去されている)などを設計した菊竹清訓氏に師事した。

 1971年に建築家として独立した後は、王立英国建築家協会ロイヤルゴールドメダルや“建築家のノーベル賞”といわれるプリツカー賞を受賞するなど、輝かしい経歴を誇る。前出の図案では、流線形の屋根が特徴的で動きのあったザハ氏の案と比べかなり簡素な印象を受ける。伊東氏の元同僚で建築家の長谷川逸子氏はこう語る。

「前回の案は平らな屋根で伊東さんらしくないなと思ったんです。彼はサプライズ演出が好きだから」

 伊東氏は月刊誌への寄稿で前回コンペの時間が「強烈に短かった」、「これだけの規模の建築について考えるわけですから、少なくとも半年はほしい」と発言していた。

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