伊東氏は一般建築物だけでなく、複数のスタジアムの設計経験があるが、そのデザインは独創的だ。

 屋根に約2万5000本もの秋田杉を使用し、世界最大級の木造ドーム(下部構造は鉄筋コンクリート)といわれる「大館樹海ドーム」(1997年完成、秋田県大館市)を手掛けたほか、2009年に行なわれたワールドゲームズ(相撲やビリヤードなど、オリンピックに参加していない競技・種目の世界大会)のために設立された台湾・高雄市に所在する「高雄国家体育場」も彼の設計である。こちらは無数のソーラーパネルがまるで龍のようにうねっている。

 前回は時間がなく、伊東氏にしては比較的シンプルなものだったのかもしれない。今回、伊東氏は竹中工務店・清水建設・大林組の3社連合と組んだと新聞各紙で報じられているが、再公募ではどんなデザインを出してくるのだろうか。同じく菊竹氏に師事した伊東氏の元同僚の建築家・遠藤勝勧氏が語る。

「彼はただ机上で設計するのではなく建設現場に足を運ぶ人。近くに山があったら、それをどう生かすか、といったように土地に合った合理的な設計をしてくるのではないでしょうか。彼は、私たちの師匠である菊竹さんの考え方をしっかりと受けついでいる。それは自然採光、自然通風を大切にする建築です」

 新国立競技場は緑にあふれた明治神宮外苑に造られる。その立地を生かした、環境に配慮した構造となることが予想される。

 そのカギは太陽光パネルにありそうだ。前回はパネルを敷きつめた屋根が特徴的だったが、「あの人は同じものを二度出してくる人じゃない」(前出・長谷川氏)。

 少なくとも前回案を叩き台に、ブラッシュアップしたものが発表される可能性が濃厚だ。台湾のスタジアムのような、太陽光パネルを生かした独創的なものが期待できるかもしれない。

※週刊ポスト2015年10月16・23日号

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