だが、諦めるのはまだ早い。前出の山下氏は「都心にも下町っぽさが残り、生活しやすい手頃なエリアはある」という。
「昔ながらの商店街も多い月島や勝どきといった湾岸地区は、東京五輪を見据えた再開発が進み、すでに庶民的な感覚では買えなくなっています。それよりも、私が穴場だと考えるのが『門前仲町』です。
門前仲町は江東区の一番西側ですが、川を一本渡れば中央区ですし、地下鉄東西線に乗れば5分で大手町に着く好立地。それでいて、安売りのスーパーや飲食店も数多くあります。
古い市街地が続き、大規模マンションの建設が難しいためにあまり注目されていないものの、50~100戸程度の中規模マンションの中には、世田谷方面に比べて割安物件もたくさんあります。築年数の浅い中古を狙うのもいいでしょう」
〈資産価値の落ちない街〉と〈現実的に住みやすい街〉は別であると言われる。だが、今後は空き室問題も指摘される住宅の過剰供給から、郊外の値崩れが激しくなることは十分に考えられる。ならば、少しでも都心の人気エリアに近づき、資産の目減りリスクを抑える物件探しをしてみるのも手だろう。