このとき騎乗していただいた岡部幸雄さんに、「この馬は来年になると絶対に良くなる。大事に使ったほうがいいよ」とアドバイスされたのですが、名ジョッキーの言葉を振り切ってすぐに菊花賞に行きました(笑い)。気持ちの強い馬だったので、行けると思ったんです。
人間の腕を噛んで遊ぶところがありました。何人ものスタッフが流血しました。気持ちが強いというより、性格が悪い(笑い)。だから、その性格が丸くならないうちに使っちゃえという判断です。
それほど人気もなかった(8番人気)し、有力騎手には先約がありました。ずぶい馬だったので。長い距離をずっと追える騎手がいないかと探したとき、当時まだ地方競馬所属だった岩田康誠騎手のことを知りました。格上挑戦でしたが会心の勝利です。馬の良さを引き出してくれたし。京都の長い距離を、がっちり追ってくれました。
その後、ジャパンカップ(3着)、有馬記念(5着)まで行ったのも、デルタの気性のおかげです。この時点で、2006年のメルボルンカップ(日本馬として初勝利)まで視野に入っていました。
※週刊ポスト2015年10月30日号