スポーツ

角居勝彦調教師 人の腕噛む性格悪い馬の良さ出す方法を語る

 牡馬クラシック三冠競走の最終戦、菊花賞の日はもうすぐ。ウォッカ、カネヒキリ、ヴィクトワールピサなど数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、最も強い馬が勝つといわれる菊花賞を2004年に制した騎手にとって「難しい馬」、デルタブルースについての思い出をお届けする。

 * * *
 菊花賞──3歳秋の3000mというのは独特のレース。いかに人馬一体になれるかが鍵です。

 能力のある馬が夏場を越えて成長しすぎて、ジョッキーの指示を聞かなくなるケースも多い。たとえば春、皐月賞やダービーで好走した場合、夏休みに背中や腰の筋肉がものすごくパワーアップするものです。強い負荷の反動ですね。トータルの運動能力が急に上がる。陣営はそのギャップを把握していないと、馬が引っ掛かってコントロール不能に陥ることもあります。

 逆に、春に芳しくなかった馬が秋の菊花賞でちょうどよく仕上がってくる場合もあります。そのへんの兼ね合いが面白い。

 2004年、角居厩舎に初めてのGIをもたらしてくれたデルタブルースは難しい馬でした。一完歩が大きく、ちょっと見ると遅い印象ですが、時計は悪くない。

 ただし細かく走ることは苦手。こういう馬はレース選びが難しく、初勝利は6戦目の2000mでした。そして中1週でダービートライアルの青葉賞(芝2400m)へ。適性距離と見たのですがさすがに相手が揃っていて13着。でも、秋の菊花賞を意識していたので、広い東京競馬場で格上挑戦をさせたかったのです。

 その後、5月23日に2400mの500万下を勝って、放牧に出します。夏を越えて9月20日の2500m(5着)で復帰、10月2日の九十九里特別(2500m)で勝って、なんとか菊花賞に出られそうなぐらいまで賞金を積み上げました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン