ただ、芸術性をどう判断するか。作者が「私は芸術家だ」といえば、その作品は芸術作品になるのか、その人が芸術家か否かを誰がどう判断するのか。さらに「細密性」の問題もあります。露骨に性器を表現するとわいせつになるが、そうでなければ問題にならないというものです。
では、春画はわいせつか否か。春画の特徴として、性器を大きく描いている。この点は露骨であり、エロを強調していると考えることもできます。
その一方、デフォルメしていることでリアリティがなくなっている。また、春画は絵ですから、細密性もない。さらに今では額に入れて展示もされているので、芸術作品といっても構わないでしょう。
何より今では、春画はあちこちで見ることができる。出版物も多数ある。ということは、社会通念上、春画は違法扱いされていない。よって、春画はすでにわいせつではない。そのように考えて問題はありません。
春画を雑誌に掲載することについては、見たくないものを見せられたとか、子供が見たらどうするかという指摘もある。が、今の世の中は、自由で民主的な社会です。価値観の違う人たちが、お互いに譲り合いながら暮らすのが当たり前です。
もちろん、強制的に春画を見せるのは認められませんが、雑誌に春画を載せるということは、閉じた冊子に掲載しているだけだから、嫌な人は買わなければいい。また、そのページを見なければいいのです。
※週刊ポスト2015年10月30日号