ライフ

飲食店の従業員が全員外国人でも問題ないか? 弁護士の見解

 コンビニや飲食チェーンなど、外国人が働いている光景は当たり前になってきた。とはいえ、働く人すべての日本語がおぼつかないと不安になることも。せめて監督者として日本人は必要ではないのか、弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 牛丼屋に朝食を食べに行ったところ、驚いたことに3人の従業員が外国人でした。しかも、3人とも日本に来て日が浅いようで、日本語が拙いせいか、客とモメているようでした。こうなると日本人の監督者を配置すべきだと思います。外国人従業員だけで店の運営を任せるのは法的に問題はないのですか。

【回答】
 外国人労働者の受け入れは、人手不足を補うために、徐々に関門が開かれつつあります。外国人は、我が国に在留する資格を持つ者と、そうでない者がいます。こうした在留資格は、出入国管理及び難民認定法(「入管法」)で定めており、就労の可否や範囲も、この法律による区分に従って違います。まず、在留する資格がない不法滞在の外国人は就労できません。雇用した事業主は処罰されます。

 入管法は複数の在留資格と、その資格を持つ者ができる活動を定めています。就労できる在留資格は複数ありますが、基本的に専門的・技術的分野に属する活動を行なう外国人と、技能実習目的の外国人に就労を認めています。

 専門的・技術的分野に属する活動とは、大卒ホワイトカラー・技術者・外国人特有の能力を活かす業務(語学教師)・高度に専門的な職業です。技能実習生は技能を習得後、その技能を必要とする仕事に就くことができるようになります。

 これら以外の外国人は、日本人の配偶者や永住者と、その配偶者の特別な在留資格がないと就労できません。したがって留学生などは、教育を受ける活動での在留資格があるため、本来就労はできません。

 しかし、入管法は在留資格の目的を損なわない限度で、在留資格が認められている活動目的に反しない範囲での就労を許可することにしています。具体的には勤務時間が1週28時間等以内で、相当と認められる場合に報酬を受ける活動が許可されます。厚労省の最近の調査では、14万7000人が資格外活動の許可を得てアルバイトをしているようです。

 以上により牛丼屋でのアルバイトは許可されますので、当該外国人は資格外活動の許可を受けての労働者であると思います。その場合、事業者には、とくに日本人に監督させる義務はありません。

【弁護士プロフィール】
◆竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2015年10月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン