翌年、ウオッカはドバイへの遠征を経て、ヴィクトリアマイル(2着)、安田記念(1着)と結果を出しましたが、ダイワスカーレットは脚部不安で春シーズンを全休していました。
そして4歳秋、毎日王冠(2着)を使ったウオッカと4月の大阪杯(1着)以来のダイワスカーレット、5度目の対決。調教師も師弟関係とマスコミも煽ったライバル対決でした。
内側で二の脚三の脚を使うダイワスカーレット、その外で末脚を伸ばすウオッカ。「競馬史上に残る壮絶な叩き合い」でした。レース後、10分以上経っても確定ランプが着かず、同着という声もあった。わずか2センチ差の勝利でした。
対戦成績はウオッカの2勝3敗。しかし2センチ差を勝ったのが大きかった。パドックや輪乗りのとき、「また、あの娘がいる」と気づいたはずです。「ここで勝たないとヤバイ」くらいに思ったのかもしれません。
そこを2センチ差で乗り越え、ウオッカは精神的にも大きく成長しました。しぶとくタフなダイワスカーレットとの戦いが、その後のGI3勝(計6勝)につながった。ダイワスカーレットもたいしたもので、この後の有馬記念を勝っている。
ライバルの存在が馬を強くします。早めに格上挑戦をさせて、ライバルを見つけるという考え方もあります。
※週刊ポスト2015年11月6日号