スポーツ

角居勝彦 ウオッカを成長させたダイワスカーレットとの戦い

 中距離(2000メートル)ながらスピードも不可欠な秋の古馬戦の最高峰である天皇賞。調教師・角居勝彦氏が送りだした名馬・ウオッカが2008年秋に天皇賞で勝った背景には、ライバルの存在が不可欠だった。週刊ポストでの角居氏による連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、ウオッカとダイワスカーレットのライバル物語についてつづる。

 * * *
 前年の有馬記念で惨敗した後、2008年3月にドバイデューティフリーで走らせました。海外の風が良かったのか、帰国してから逞しさが増していました。

 気を遣ったのは同世代のダイワスカーレットにどのタイミングでぶつけるか。競走馬は、短期間に同じ相手に3回競り負けるとダメです。「あいつにはかなわない」と自ら順位付けをしてしまう。頭がいい馬ほどそうです。強い3歳馬なら同じレースに出ることも多く、気の弱い馬だと戦意喪失なんてことにもなりかねません。

 ダイワスカーレットは卓越したスピードで先手を取り、そのまま押し切る堂々とした競馬で牡馬たちをも蹴散らす存在で気性もタフ。鋭い切れ味で勝負するウオッカとは好対照。共に男勝り。女王争いですね。

 2007年のチューリップ賞で初めて戦い、このときはクビ差でウオッカ。次の桜花賞ではダイワスカーレットが勝ってウオッカは1馬身半差の2着。その後、ウオッカはダービーを獲ったものの、秋華賞では完敗(3着)。逃げるダイワスカーレットに、追いつくことができなかった。

 次のエリザベス女王杯に向けて陣営は鼻息を荒くしました。直線の長い京都の外回りで、距離が1ハロン伸びるのもウオッカ向きです。ここで勝てば星は五分、苦手意識を払拭できます。

 ところが、前日発売で単勝1番人気に支持されていたにもかかわらず、右トモ(後ろ脚)の故障で出走取消。仕切り直しの対決となった有馬記念でダイワスカーレットは2着に頑張ったのですが、ウオッカは初の二桁着順(11着)。ウオッカはプライドが高い反面、「もうやめた」といった脆いところもある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン