国内

国連の日本視察者が紹介した「女子高生の13%が援交」の真偽

“国連の要人”から飛びだした「日本の女子生徒の13%が援助交際をしている」との発言が物議を醸している。

 発言の主は、児童の性的搾取問題の専門家でオランダの法律家、マオド・ド・ブーア=ブキッキオ氏。同氏は国連特別報告者として10月19日に来日し、東京や大阪、那覇などを訪れて児童の性的搾取状況を視察。滞在最終日の10月26日に都内会見で冒頭のデータを紹介した。この発言に噛みついたのが山田太郎・参院議員(日本を元気にする会)だ。

「外務省、警察庁、文科省、厚労省の各省庁に問い合わせましたが、一様に『根拠となるようなデータはない』とのことでした。彼女の視察報告に基づいて、来年3月に国連から日本へ勧告が出ることになっています。内容次第では、日本が“援助交際大国”と世界中からバッシングを受けかねません。第2の慰安婦問題や南京大虐殺問題になる恐れがあります」

 実際、「13%発言」はさっそく韓国で報じられた。ネットユーザーたちは、

〈日本は性進国だ〉
〈AV宗主国だけのことはある〉
〈援助交際をしていない割合が13%では?〉
〈13%ではなく31%だったりして〉

 などと“期待通り”の盛り上がりを見せた。

 ブキッキオ氏は性産業に従事する女子高生を支援する団体の関係者と面会した際に「13%」のデータを示されたようだ。反響の大きさを憂慮した同氏は11月2日に国連のサイトでこうコメントした。

「日本滞在期間中、JK(女子高生)ビジネスにまつわる非公式統計を受け取りました。しかし、私が対話をした多くの人々は未成年を性的に利用するこのビジネスに危機感を抱いていました。会見では私が知り得た現象に対し、いち早く対応していただくために言及したのです」

 民間団体が提示した「13%」は実態に即しているのかどうか。複数の女子高生支援団体に取材したが、「もっと多い」「ずっと少ない」と意見が割れた。

 日本性教育協会で「青少年の性行動全国調査」に携わる羽渕一代・弘前大学准教授(社会情報学)は、この数字に首を傾げる。

「13%とは、実態を表わしていない、かなり盛った数字だと思います。私たちが2011年に実施した女子高生への調査では、『お金や物をもらったりあげたりしてセックスをすること』という質問に、『かまわない』が4.5%、『どちらかといえばかまわない』が4.8%となっています。実際に援助交際をしている数は不明ですが、近年は性交経験率も低下傾向です」

 はたして、実際の数字はどれほどなのか──女子高生の実態は謎だらけだ。

※週刊ポスト2015年11月20日号

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