「うちの会社は就業規則で副業はダメなので夜の仕事がばれたらクビかも。内緒にしていた彼にも知られると思うと辞めるしかないかなあ……」
生活費の足しに都内でキャバ嬢として働く20代OLはこうため息交じりに漏らす。今、そんな副業ホステスやキャバ嬢が増えている。BRICs経済研究所代表でエコノミストの門倉貴史氏が語る。
「私が今夏に行ったアンケート調査でも、副業キャバ嬢の約3割がマイナンバー導入で辞めると回答している。番号通知が始まった今ではもっと増えているでしょう」
彼女たちを戦々恐々とさせる「マイナンバーで副業ばれ」とは何か。
「経営者が税務署に提出するホステスの報酬の支払調書にはマイナンバーが記載されます。すると税務署はホステスの申告漏れが容易に把握できる。ホステスがこれまで怠ってきた確定申告をするようになると、副業収入で追加発生する住民税額が市区町村から会社に通知されるので、そこで副業していることがばれてしまうのです」(門倉氏)
一方、そこまで心配する必要はないとの指摘もある。副業をめぐる問題に詳しい税理士の斉藤一生氏はこういう。
「確定申告時には副業分の住民税の支払い方法を選択することができます。そこで給与からの天引きではなく、自分で納付する『普通徴収』にすれば、会社にばれるリスクはぐっと回避できます」
その場合でも、扶養家族の立場でバイトしている学生や妻は「親ばれ」や「旦那ばれ」は覚悟しなければならない。
「確定申告が面倒な上、心理的な不安もあるために結局は辞める女の子は増えるでしょう」(門倉氏)
※SAPIO2015年12月号