資源管理に成功したノルウェーでは定められた年間漁獲割当のもとで漁獲高を上げるため、単価の高い中大型クラスのサバを狙った漁法が確立されている。「味も脂のノリもよく、非常に評価が高い」と水産加工の現場からも評価が高い。
ノルウェーにも1980年代に漁獲量が落ち込んだ時期はあった。だが1990年には、漁船別漁獲割当制度を導入。各漁船の漁獲は水揚げ場だけでなく、洋上においても検査され、操業海域制限はもちろん、洋上投機の禁止など厳しいルールを設定したところ、漁獲高は回復基調に乗った。
ノルウェーが本格的な資源管理に乗り出した年から25年経っても、日本はまだ「試験的に」しか導入できていない。つまり少なくとも、日本の漁業はノルウェーよりも25年以上遅れているのだ。
もちろん真サバに罪はない。生活のために、0歳魚、1歳魚を獲ってしまう漁師が悪いのでもない。そうさせてしまう仕組みが悪いのだ。その状態で放置してしまう行政が、そして何より無関心でいるわれわれ消費者のせいなのだ。
僕自身、生食できる真サバが水揚げされる福岡などに行くと、必ず真サバのごま和え――「ゴマさば」(※編注:魚種ではなく、料理名)を定食屋や居酒屋で注文する。心から絶品だと思う。レッドリスト入りしてしまったウナギやマグロと同じ轍だけは絶対に踏んでほしくない。