ビジネス

「サラリーマン大家」になって節税をしつつ資産増やすコツ

 税の不公平感を解消するために、節税しているサラリーマンは少なくない。最もポピュラーな手法が、副業による収入に対し経費を計上して“赤字”になること。その赤字をサラリーマンとしての収入と相殺して確定申告し、天引きされた所得税を取り戻す方法だ。

 しかし副業自体を会社が禁止している場合はどんな手段があるのか。

「社員の副業を禁じる会社は多いが、不動産投資は憲法で規定されている財産権に関わるため禁じられない。だから『サラリーマン大家』は会社も税務署も認めざるを得ないれっきとした資産運用であり、赤字が出たら堂々と確定申告して、納めた所得税を取り戻せます」

 そう語るのは、かつて自身も「サラリーマン大家」で『サラリーマン大家道』(実業之日本社刊)などの著書がある藤山勇司氏。不動産購入初年度には取得税や登録免許税、登記費用などが経費として計上され、基本的には赤字となるため、本業の所得と損益通算することで所得税は限りなくゼロに近づく。その後も「減価償却が節税に有利に働く」と藤山氏はいう。

「たとえば500万円の中古物件を購入し、家賃を年間72万円得られるとします。建物の価値にもよりますが、例えば1年目の減価償却は100万円で、家賃収入から引くとそれだけで28万円の赤字。このように減価償却を意識すると大きな節税につながります」 『お金が貯まるのは、どっち!?』(アスコム刊)の著者・菅井敏之氏も銀行員時代に不動産投資を始めた「サラリーマン大家」のひとりだった。

「私は総費用の2割程度の自己資金を用意してローンを組み、土地を買って新築アパートを建てましたが、取得費用を計上して赤字になりました。所得税もゼロになり、住民税も抑えられた。それから物件を毎年のように購入することで所得税を軽減しながら資産を増やしていきました」

 不動産投資というと、まとまった資金が必要になるなどハードルが高いように思えるが、菅井氏はこう指摘する。

「自営業などと違い、会社員は銀行からお金を借りやすい。とにかく手元資金を貯めて、銀行から安い金利でお金を借りて、それを元手に資産を増やす。ただし、物件選びは大事です。過熱している都心のワンルームマンションに投資しても思うようなリターンが得られず、家賃収入がローン返済を下回ったり、安いからという理由で地方の築年数が古い物件を購入したものの修繕費ばかりがかさんでしまう、といったケースもあります」

 サラリーマンには自営業者などと比べて多くの制約がある。しかし資金調達など、時にはサラリーマンであることを利用し、税制のスキを突いて多くの税金を取り戻している「無税族」たちが存在しているのだ。

※SAPIO2015年12月号

関連記事

トピックス

“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン