梅毒の診断に指定されている検査方法(RPR定量法)が廃止され、新しい方法(RU自動化法)に変わりつつある。新旧の方法は原理も違うので、検査結果を比較することが難しく、マッチング作業に何年もかかってしまったため、その間に感染を見逃していた可能性もある。新しい方法では、検査手技が簡便になったことも、患者増加の原因の一つではと考えられている。
「梅毒は治療法が確立しているので、適切な治療を行なえば確実に治ります。病気のステージによって治療期間が違いますが、I期は2~4週間、II期は4~8週間の服用で、3期以降は8~12週が目安となっています。保険を利用しても、梅毒の治療が第三者に知られることはありません。安心して検査と治療を受けることが大切です」(澤村院長)
梅毒は、他の性感染症よりも、HIV感染を合併することが多い。早期に発見し、ウイルス抑制療法などの適切な医学的管理を受ければ、エイズの発症を抑えられ、普通の人とほとんど遜色ないほどに生きられる。
このことから、HIV検査は「救命的検査」といわれている。たとえ梅毒のI期であっても同時に、HIV検査も行なうことが重要だ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2015年12月11日号