土屋と山崎は一般から募集したはがき100通の「届けられない想い」を、漂流郵便局を守る中田勝久局長(81才)に直接手渡した。
中田局長は実際に粟島郵便局の局長を17年間務めた人物。オリジナルの制服姿が板についている。
「10年先の自分へというお便りはありますが、10年前の自分に宛てた手紙は今までなかったと思います。でも時空を超えて想いを伝える発想は、映画と漂流郵便局に共通していますね」(中田局長)
きらきらと光を反射するブリキ製の「漂流私書箱」に保管された、1万通もの手紙を目にしたふたり。
土屋は、「実際に訪れて手紙を拝見し、届ける相手がいない手紙でもだれかが読むことで届いていると思うし、“心の命”を感じる場所でした。私の心にもたくさんの想いが届いてきたので、あの場所に手紙を託した人たちに『しっかり届いているよ』とお伝えしたくなりました」と語った。
一方、「どうしようもない想いを置いておける貴重な場所になっているんだなと思いました」と山崎。
大役を果たしたふたりは粟島の桟橋からフェリーに乗り込んだ。島の人たちは5色の紙テープでふたりとつながった。島伝統の温かい見送りスタイルに感激したふたりは、ちぎれた紙テープを大切に持ち帰ったという。
※漂流郵便局はアート作品であり、日本郵便(株)との関連はありません。