ライフ

2015年食の5大ニュース 肉がごちそうだった時代は終焉か

来年も肉ブーム?

 今年注目の「食ニュース」はなにか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が、独断と偏見で5大「食ニュース」を選んでみた。

 * * *
 今年も食べもののまわりでは、味わい深いニュースがたくさん流れた。今年の特徴としては何か爆発的なブームが起きるというより、小さなブームが取りざたされたり、どこかにもやっとする「ヌケの悪い」一年だった印象だ。もっともそれは「食」のまわりが何か一色に塗りつぶされたりせず、多様で健全な年だったということでもある。それでは今年印象に残った5つの話題を見ていこう(ちなみにTPP関連はより動きが具体化するであろう、来年以降に回します)。

●第5位 飲酒の基準年齢、18歳に引き下げは幻に

「成人」年齢の引き下げにともない、4月から自民党の「成年年齢に関する特命委員会」が飲酒やたばこについての年齢制限について検討することに。ところが、半年近くかけて8月31日に「引き下げを提言」という方針が出たとたん、日本医師会など各所から「とんでもない!」の大合唱が起こり、10日ほどで撤回を余儀なくされた。

 しかし20歳と18歳のリスクの違いを同条件で比較した追跡調査は存在せず、例えば飲酒なら「21歳以上から」と「15歳以下から」という比較が持ちだされ、喫煙も「非喫煙者」と「20歳未満で喫煙を開始した人」を比較して「肺がん死亡率5.5倍」と喧伝された。結局、成人ダブルスタンダードとなってしまいそうだが、「ハンタイ!」とばかり叫ぶのではなく「高校3年生の18歳をどう扱うか」など深められる成人論もあったのでは。

●第4位 わざわざ「禁止」になった、豚レバー生食の怪

「豚を生で食べてはいけない」、「豚には寄生虫がいる」。昭和の頃、そう教えられて育った日本人は多いはずだ。もっとも「完全に火を入れなければならない」という過剰な安全志向が、実際の安全基準と乖離しすぎたため、2012年牛レバーの生食禁止をきっかけに逆側に振れてしまった。牛レバーの代わりに豚のレバーを生で提供する店が増えてしまったのだ。

 結果、牛レバーが禁止された2012年にはE型肝炎の患者数が前年比で倍増してしまった。油でコーティングしようと生は生。確かに国産豚で寄生虫リスクはほとんどないかもしれないが、E型肝炎は劇症化するケースもある。生で食べられるケースなど想定されていなかったからこそ、法制化が遅れ、だからこそ一時期とはいえ生食が流行してしまった。正しいアップデートが何より大切ということで。

●第3位 進まない漁業規制の奇奇怪怪

 奇奇怪怪だらけの日本の食事情のなかでも、漁業ほど誰も得をしないシステムのまま放置されている産業も珍しい。成魚に育ってから獲れば、少ない数でも高い単価で売れるものを、競うように幼魚のうちに獲る。当然、魚体も小さく、味も脂のノリも悪いから二束三文でしか売れず、漁業者も苦しくなるし産業としても大きくならない。

 一方、ノルウェーのように20年以上前から、国が細かく船ごとに漁獲量を決めるIQ方式を採用している国では、漁師の手取りもよく、産業として育っている。仕組みは、トップダウンでなければ変えられない。行政、漁業者、流通までの総意を持って、明確な未来を設定し、政治と行政が漁業者の将来を守り、流通・小売が範囲に応じた食の楽しみを提案し、消費者は注視し続ける。10年、20年先を見越したデザインであれば、決して誰のソンにもならないはずなのだが……。

トピックス

寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビー服は男の子のものでは?》眞子さん、夫・小室圭さんと貫く“極秘育児”  母・佳代さんの「ラブコール」も届かず…帰国が実現しない可能性も
NEWSポストセブン
吉沢亮演じる喜久雄と横浜流星演じる俊介が剣幕な表情で向かい合うシーンも…(インスタグラムより)
“憑依型俳優”吉沢亮主演の映画『国宝』が大ヒット、噂される新たな「オファー」とは《乗り越えた泥酔事件》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“半日で1000人以上と関係を持った”美女インフルエンサー(26)がイギリスの公共放送で番組出演「口をすぼめて、吸う」過激ビジュアル
NEWSポストセブン
映画『国宝』で梨園の妻を演じた寺島しのぶ(52)
《無言の再投稿》寺島しのぶ、SNSで2回シェアした「画像」に込められた歌舞伎役者である息子・尾上眞秀への“覚悟”
NEWSポストセブン
元横綱・白鵬の宮城野親方に相撲協会はどう動くか(八角理事長/時事通信フォト)
八角理事長体制の相撲協会に「70歳定年制」導入の動き 年寄名跡は「105」しかないため人件費増にはならない特殊事情 一方で現役力士が協会に残ることが困難になる懸念も
NEWSポストセブン
「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン