安保反対運動では、SEALDsが国会前でデモをしていたところでビラ配りをしていたらSEALDs側に止められたことが話題となった。彼らは今の左派陣営の新たな時流に乗りたくても乗れないように見える。
革マル派は身分を隠して大衆組織に潜り込み、活動拠点とするのが特徴だ。かつては、早稲田大学の自治会や学園祭実行委員会に潜り込んで、早大を一大拠点に仕立て上げた。
しかしこの「革マル的手法」に対して、大学側は学園祭の開催中止、自治会や関連とされるサークルの公認取り消しなどを行い資金源を絶つことで、革マル派は同大学から一時期ほぼ排除された。
また神戸連続児童殺傷事件を国家権力の陰謀とし、同事件の調書を盗んだ活動家が逮捕、実刑判決が下された。新たに強力な資金源を得たという情報はなく、現在は資金力も衰えているとみられる。ここ10年ほど表立って社会を騒がせた活動はあまり見られない。
最近は中核派に倣い、大衆化路線に舵を切り、反安倍や反安保、教科書問題、非正規雇用問題などの運動組織に革マル的手法で浸透を図ろうとしている。
高齢者ばかりの組織に未来はありそうにないが、新左翼が消滅するかといえば、それは否である。従来の「労働者vs資本家」という構図がなくなっても、弱者と強者の対立が存在する限り、こうした運動は形を変えて生き続けるはずである。ただ彼らは自分たちが若かりし頃に見切りをつけた既存左翼のように、今度は若者たちから見切りをつけられる立場にもなっている。
※SAPIO2016年1月号