事実、共産党公園がある湖北省をはじめ、習政権のプロパガンダ政策が特に強烈に実施されている陝西省・湖南省などのトップ(党委書記)を調べると、全員が例外なく紅衛兵世代である。いずれも習近平と同じく、若き日に下放(地方労働)を受けた経験を持つ「文革の子」だ。

 彼らは歳を取って変になったのではない。変な人たちが歳を取っただけなんだ。──現在、中国ではこんなジョークが流行している。青春時代に教条的で暴力的な政治運動の洗礼を受けた人々の統治は、必然的に荒っぽいものにならざるを得ないというわけだ。

「習政権の10年間は、リベラルな中国人にとって暗黒の時代です。しかし、こうした政策は決して長く続きません。これが世代的な問題である以上、彼らの退場後に中国の夜明けが必ず来ます」(顔氏)

 とはいえ、そんな習近平の政治手法は、貧困層を中心とした庶民の間で絶大な支持を獲得している。毛沢東が発明した「文革式」の統治は、中国人民を巧みにまとめあげる上では最適解のひとつとも言えるのだ。

 共産党公園の蔓延は、時代遅れの「文革の子」による最後の悪あがきか、それとも中国共産党が「統治の最適解」を見つけた証しなのか。のどかな市民公園の背後に、異形の国家の未来が見える。

※SAPIO2016年1月号

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