ただ、IoTビジネスを日本だけで成功させることは難しいだろう。日本企業の開発や研究は、閉鎖的な部分があり、グローバルな市場展開に繋がりにくい。その点、台湾は半導体などのコンポーネント(部品)を大量につくる生産技術に優れている。今こそ日本の研究開発力と台湾の生産技術を結びつけ、IoTに活用できる新しい半導体の開発に協力体制を築くべきだ。
その結果、台湾はIoTの生産によって日本経済をバックアップすることができ、GDP成長率のプラスにも貢献できるだろう。
中国の脅威に立ち向かうため、今こそ台湾と日本が固く団結すべき時だ。
【PROFILE】 1923年台湾生まれ。旧制台北高校、京都帝国大学農学部で学び、戦中は志願兵として高射砲部隊に配属された。終戦後台湾大学に編入し卒業。台北市長、台湾省主席、副総統を経て1988年に総統就任。1996年、台湾初の総統直接選挙で当選し、2000年まで務める。著書に『指導者とは何か』(PHP研究所)ほか多数。
■撮影/黄威勝
※SAPIO2016年2月号