改めて、日本やアジア情勢に触れたトランプ発言を整理してみる。

「我々は日本から関税ゼロで何百万台という車を輸入している。これでは日本とまともな貿易など出来っこない」(2014年4月25日付、ツイッターでの発言)

「安倍(首相)は頭が切れる。キャロライン・ケネディ(駐日米大使)は安倍にご馳走になって、日本が望むことをなんでもするようになった」「我々は、中国と日本に雇用を奪われている。雇用を取り戻そう。中国には我々のカネも奪われている。株価下落は中国のせいだ。市場は崩壊しつつあり、これは中国やアジアに主導権を握らせたからだ」(2015年8月21日、アラバマ州モービルでの演説)

「私が大統領になったら(日本との)貿易不均衡は15秒で解決できる。そうなったら安倍は慌てるだろう。安倍はとんでもないことをした。円の価値を徹底的に下げて、米経済を破壊している。安倍は米経済を殺した張本人だ」(記者の「中国が日本やフィリピンの船を攻めたら、どう対応するか」との質問に答えて)「予測できないことが俺の強みだ。相手に考えを知られたくない。オバマ(大統領)は『これをする、ここを攻撃する』と前もって言っているが、それが奴の最大の欠陥。これではみな逃げてしまう。マッカーサー元帥やパットン将軍がオバマの話を聞いたら憤慨するよ」(同9月3日、英誌「エコノミスト」との電話インタビューでの発言)

「日本が攻撃されれば、米国は助けに行かねばならない。だが、我々が攻撃を受けても日本は助ける必要はない。日米安保条約は不公平だ」(同8月25日、アイオワ州デモインでの演説)

(文中敬称略)

【PROFILE】1941年東京生まれ。米カリフォルニア大学バークリー校卒。読売新聞社でワシントン特派員、調査研究本部主任研究員(日米関係、安全保障)などを歴任。99年より米・パシフィック・リサーチ・インスティチュート所長。国際政治関連を中心に執筆活動を行っている。

※SAPIO2016年2月号

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