青木:まだプロゴルファーで食おうという感覚はなかったが、生活の糧としてゴルフを選んだ形ですね。当時はゴルフクラブの数がなくて、練習にも苦労しましたよ。
金田:昔はゴルフクラブが満足に手に入らなかったよな。ワシは左利きだが、右打ちのクラブでゴルフを覚えるしかなかった。おかげで今でもゴルフは右打ちだ。
青木:オレたち研修生もじゃんけんで1つのセットからクラブを奪い合って練習したものです。オレはじゃんけんが弱くて、SWやAWは他の者に取られ、手にできるアイアンは7番か8番。それを使ってバンカーから出す練習をしました。これが米国で距離があるバンカーショットに役立った。今でもガードバンカーから7番アイアンでも綺麗に出す自信がありますよ。
──すごいですね……(と絶句する記者)。
金田:お前はこの人を誰だと思っているんだ。
青木:(記者に対して)オレ、レディス用のクラブを打たせても巧いよ(笑い)?
金田:まさに「弘法筆を選ばず」だな。
●かねだ・まさいち/1933年、愛知県生まれ。1950年に国鉄入団。入団翌年から1964年まで、14年連続で「20勝以上・300投球回数以上・200奪三振以上」(プロ野球記録)。1965年に巨人に移籍し、1969年に通算400勝を達成して引退。365完投、4490奪三振など、数々の日本プロ野球記録を作った。監督としては1974年にロッテを率いて日本一。1988年に野球殿堂入りを果たす。
●あおき・いさお/1942年、千葉県生まれ。国内通算57勝(賞金王5回)。海外では1978年に欧州ツアーの「世界マッチプレー選手権」を制したのを皮切りに、1983年には「ハワイアンオープン」で日本男子初の米ツアー優勝を飾り、1989年には豪州ツアーでも勝利して日米欧豪の4ツアー制覇を達成。1992年からは米シニアツアーに参戦して通算9勝。2004年には日本人2人目となる世界ゴルフ殿堂入りを果たしている。
※週刊ポスト2016年1月29日号